今から一週間ほど前になりますが、
浜松市内で開催されていた「日本と浜松を創った先人の肖像画展」へ行ってきました。
日本の近代化を進めた偉人たちの油絵肖像画が80点も集まる珍しい展示会です。
浜松やその他の地域に住む肖像画家の方たちの協力で、
この展示会が開かれることになったのだそうです。
特に浜松にゆかりのある人物の肖像画が多く、
上の写真の肖像画などは、普段、浜松市役所に飾られています。
この展覧会は人物紹介という側面もありますが、
私は絵画として、「とてもいい絵だな~。」と思う作品がいくつかありました。
例えば、この方の肖像画。 ↓
平野 又十郎(ひらの またじゅうろう)氏。
1853年に小さな村で8男として生まれ、
24歳のとき浜松の豪農の養子となり、その家を継ぎました。
するとたちまち才能を発揮して、地元に金融業を興し、
現在の静岡銀行に発展する銀行を設立。
他にも、浜松の運輸業、軍事用の帽子会社、鉄道、植林業など、
さまざまな組織を作った超・行動派!なのです。
にもかかわらず、とても静かな人物に見えませんか?
眼鏡越しの静かなまなざし。
まじめそうなたたずまい。
いま、こういうおじさん、いないような気がする。
さて、次にこの方はどなたかご存知ですか? ↓ ↓ ↓
山葉 寅楠(やまは とらくす)氏。
世界中で販売されている楽器のYAMAHAの創設者です。
彼は1851年、和歌山の武士の家に3男として生まれました。
20歳の時、長崎で時計を修繕する仕事をしていました。
(長崎といえば、昔の日本でオランダやイギリスと交流があった地域です。)
あるとき、浜松で医療機器の修理を依頼され、
それがきっかけで浜松に移り住むことになりました。
器用な人だったのでしょう、
ついでに小学校のオルガンの修理を頼まれたりしたそうです。
当時、オルガンは高価な外国製のものしかなく、
山葉氏は、もっと安く、日本で作ることはできないかと試行錯誤しました。
1887年には国産第一号のオルガンが完成し、
1900年にはピアノ、その2年後にはグランドピアノを完成。
今や世界中で使われる楽器となったのです。
肖像画に描かれた顔を見ながらプロフィールを読むと、
みんな若いころは試行錯誤したり、いろんな経験してたんだな~と思います。
銀行を創った平野さんにしても、山葉さんにしても、
決して恵まれた環境に生まれたわけじゃないけど、
自分の信じた道で一生懸命頑張ったんだろうな。
・・・と、そんなことを感じてもらうのが、
この展覧会の趣旨なのかもしれませんね。
いま、日本は、いえ、世界は不景気ですけれども、
100年くらい前の偉人たちのように、がんばれ!と。
ところで、この展示会では浜松の人だけでなく、
日本人なら誰でも知っている過去の有名人の肖像画もありました。
上の写真は、日本の初代総理大臣・伊藤博文。 ↑
江戸時代の終わりから近代日本のはじまりにかけて大活躍した若者・坂本竜馬。 ↓
肖像画ってカラーだし、白黒写真でしか知らなかった偉人を
よりリアルに身近に感じられて、いいものだな。