最近、お気に入りの花屋さんがあります。
花の苗や植木鉢、ガーデニング用のインテリアを売っている店です。
最初に訪れたときは、地図を見ながら、「本当にこんなところにあるの?」
と不安になりながら車を運転しました。
なぜなら、周辺は畑や廃屋や倉庫ばかりで、
ちっとも店があるような気配がしないからです。
写真の奥に映っているのが、その店。 ↑
このあたりは、トタンでできた40~50年前の家や倉庫が多い。
日本では、よほどの豪邸や歴史的に価値のある建築物でないかぎり、
古い家は壊して新しく建て替えられます。
ヨーロッパみたいにリフォーム繰り返しながら古い建物に住む、
ということは珍しいのです。
特に、40~50年ほど前、
日本の高度成長期に"とりあえず"建てられたチープな建物は、
ちょうどこの頃ガタがきて、次々に姿を消す運命にあります。
特に美しくもないし、頑丈でもないし、歴史的価値もないし・・・。
でも・・・。
それはその通りなんだけど。
そのチープさっていうか、かっこ悪さが、なんだか懐かしくて、
ノスタルジックに感じる人々もいます。
最近、日本で流行りの「おしゃれな雑貨屋」や「おしゃれなカフェ」は、
そのノスタルジックをうまく利用しているのです。
若者たちは、数年では出せない古びた感じや、あの時代にしか出せないチープな感じ、
不思議なぬくもりが感じられる空間に魅了されています。
私の好きな浜松の花屋さんも、
昔は小さな工場だったんだとおもう。
トタンのペンキが剥げて錆びた風情が、味わい深い。
いま暮らしている私の周りにはこんな建築物ないけど、
そういえば、昔、小さい頃、こんな長屋があったな~。
お店の玄関は、こちら。
花屋の奥には雑貨屋さんがあります。
町の中心に店を構えればテナント料が高くなりますが、
畑の真ん中で、この物件だと(失礼)、ずいぶん安く開店できるでしょう。
個性的で野心的な若者が店をオープンするには、ちょうどいいのかもしれません。
浜松でも、こういったスタイルの店は増えてきています。
店内はこんな感じ。
私はこの日、植木鉢を2つ買いました。
日曜の朝だったし、お客さんはひっきりなしにやってきました。
珍しいものを売っているから、遠くからでもお店を見に来る人が多いそうです。
確かに、売っているものも面白いけど、
このノスタルジックな空気に魅せられている人も多いはず。
私みたいにね。