「せともの」という言葉をご存知ですか?
日本では、一般的に陶器でできた食器のことを「せともの」と呼びます。
日本列島の真ん中あたりにある瀬戸市は、
1300年ほど前から、やきものの町として有名で、
ここで生産された食器が日本中に運ばれました。
だから、やきもののことを「せと・もの」と呼ぶようになったといわれています。
瀬戸の近くには、志野(しの)や織部(おりべ)など、
世界でも有名なやきものの町があり、
今も多くの窯元から名品が生み出されています。
高速道路を使えば、私の住む浜松からこれらの町まで、車で1時間くらい。
普段使いの食器を見つけに、家族でぶらりと出かけてきました。
←高速をおりれば、
このような風景が続きます。
あちこちに小さな窯元の
煙突が見えました。
小さな窯元や、工場で作られた食器は、
大きな会場に集められ、展示販売をしています。
こういったところには有名作家の高級な作品はありませんが、
そのかわり、普段使いの食器が工場から直接運ばれるため、
品数が豊富で、たいへん安い!
食器が好きな私は、あれもこれも欲しくなりました。
色んな図柄のお茶碗。
普通は、これに白米を入れます。
家族で柄を変えたり、
季節によって、焼きものの厚みを替えたり。
選ぶ楽しみがあります。
ここは安かったから、
一個 150円~500円くらい。
←
横に長いお皿は、
焼き魚を盛り付けるものです。
近ごろは、オードブルを飾るのに
使う人も多い。
500円~1000円くらい。
← お箸置き。
これも季節によって替えます。
小さな置物みたいで可愛いので、
コレクションしている人もいます。
100円~300円くらい。
わたしは、一番初めの写真のような、
白地に紺色の図柄が入ったお皿を数種類買いました。
シンプルで和食にも洋食にも使えそうだったから。
薄くて軽く、重ねたときにかさ張らないのもいいと思った。
なにやら下の階の工場で生産しているらしく、非常に安かった!
デザート皿で一枚150円くらい。
この日以来、毎日、我が家の食卓に並んでいます。
ところで、店先にこんな箱を発見。→
割れた食器のリサイクルボックスです。
捨てるのでなく、ここで回収されれば、
砕いて、もう一度整形して焼いて、
新しい食器に生まれ変わります。
さて、子供が「トイレに行く!」 というので、急いで別の階へ行くと、
そこに、絵付け体験ができる部屋を見つけました。
「・・・・やってみる?」
ということで、4歳の娘が初めての絵付けに挑戦。
日本では、修学旅行で各地の焼きもの生産地へ行き、絵付け体験をする、
というお決まりコースがあって、
私も中学生のときに湯飲み茶碗に梅の花を描いた覚えがあります。
まずは、素焼きの白いお皿に鉛筆で下書きをします。
娘は、お姫様の絵を鉛筆で下書きしたのですが、
本来の絵の具は筆で書かないといけません。
筆に持ち替えると、下書きどうりに描けず、
結局、思い通りの絵になりませんでした。
もしかすると、子供の場合は、
筆で直接書いたほうがよかったのかもしれません。
上手に書くポイントは、
上の写真の見本の竹の絵のように、
筆を走らせたあとの色の濃淡を
美しく出すこと。
水墨画の要領ですから、難しいですね。
コバルトや鉄などで作った絵の具。
灰色をしていますが、
焼きあがるとブルーになります。
絵を描き終わると、工場の人が丁寧にお皿を釜へもって行きました。
上薬をかけ、他の物といっしょに焼いて、完成。
10日くらいで家に送られてきました。
(この絵付けは、送料別で、お皿一枚1000円でした。)
娘が描いたのは、結局、自分と弟の絵だったようです。
このまま仕舞っておいて、20年後、
たぶん別々な人生を歩む二人がこの絵をみたら、なんて言うかな?