近頃、日本では企業が運営する歴史館や博物館が流行っています。
たとえば、愛知県にあるトヨタ博物館は見ごたえがあって全国的にも有名です。
浜松にも1年前に自動車会社のスズキが自社の歴史館を建てました。
見学は予約制で、入場無料です。
私はこの「スズキ歴史館」に2度行きました。
とても素晴らしい博物館だと思います。
日本の歴史の中で、どういう経緯で自動車会社が誕生し、
そして成長したか、館内を見て歩くとよくわかるのです。
最初の写真は、スズキが創業したころ生産していた機織り機と、
初代社長&その仲間たちの白黒写真。
初代社長の鈴木さんは、農家の次男坊でした。
当時は長男が家の跡をとるため、次男は家を出なくてはなりませんでした。
幸い、彼は幼いころから農業より機械の仕組みに興味がありました。
そして毎晩のように夜なべして機織りするお母さんを ↓
切ない気持ちで見ていました。
「少しでも楽にしてあげられないかな・・・。」
そう思って、母の古い機織りをあちこちいじり、
手間を省ける工夫を凝らし、機械化された機織り機を開発しました。
「・・・これは便利だわ。」
ということで新型の機織り機をたくさん生産することになり、
ここにスズキという会社が誕生したのです。
その後、第二次世界大戦に敗れた日本はすべてを失い、
復興の時代がはじまりました。
布を織るより、生活の足となるバイクや自転車を創ろう。
そう考え多くの会社が、
機織り機製造のノウハウをいかして、バイクをつくり、
しだいに車を造るようになりました。
当時、浜松の町中を走っていたのはスズキのキャリイ。 ↓ ↓
今から50年ほど前の浜松の街の様子が後ろのスクリーンに映し出されます。
酒屋さんがビールケースを積んで走った雰囲気が伝わってくる・・・。
さらに時代が進んで、各家庭でマイカーをもつようになったころ。
ちょっと面白い展示の仕方をしています。
念願のマイカーを手に入れた家族の様子を、ブロック塀の隙間から覗くことができるのです。
ブロック塀の隙間にはモニター画面があって、
このセットで役者さんたちがこの家の家族を演じる様子が映し出されています。
見学者もこの家の玄関先に入ることができます。
すると、モニターに自分の姿も映し出されて、
役者さんたちと共演しているように見えるのです。
(ちなみにこれは、スズキ・フロンテという車)
もちろん、スズキ歴代のバイクや自動車も展示されてます。
それと合わせて、当時テレビで放送されたコマーシャルや時代背景も
展示されているため、日本が歩んできた歴史がよくわかるのです。
そして、現在の生産現場の様子も。
子供に人気のコーナーは、これ。 ↓ ↓ ↓
車の素材となるアルミやプラスチックをパーツの形にする仕組みがわかる展示。
最後に、写真の手前の機械のボタンを押すと、
スズキのスイフトという車のミニカーが出てきます。
一応、今見てきた工程で車が完成したよ、ということね。
で、これはお土産だよ!!
ほかにも、工場見学を体験できる3Dシアターもあるんだけど、
音と映像が本格的すぎて、4歳の子供が耐えられなかったため、私も途中リタイア。
無念なり。
さて、最後に私の真面目な感想文ですっ!
「繊維で日本が湧いた時代。 戦争で多くを失った時代。
復興でみんなががんばった時代。豊かさを求めた時代。
さまざまな時代の流れの中で、
スズキは人々が必要だと思うものをタイムリーに創りだしたから、
今も大きな企業としてあり続けているのだ。
人は、そうして前を向いて歩いている。
苦労の前に道がひらける。
その摂理に従えば、きっと東日本大震災がきっかけで新しく生まれる道具もあるのだろう。
いま、この困難を目の前にして、
私たちに何が必要なのか、必死で考える時なのでしょう。」